本当に住まいで大切なことは

住まいに対する地震への備えを考える ここ2年ほど、認知症の症状がぐんと進行した父に、毎日振り回されっぱなしです。認知症患者が家族にいると、その介護で他の家族の生活は今まで通りにはいかなくなると言われますが、本当にその通りだと思います。今のところ我が家の場合、妹が仕事に行き、私は在宅で仕事をするという生活パターンはまだキープできていますが、精神的なダメージは非常に大きくなりました。認知症特有の、突然怒りだす父をハラハラしながら見守る状態が続くといやがおうにも緊張が高まり、家族の誰かがイライラしだします。それはあっという間に伝染してしまい、家の中が一触即発の状態になることが珍しくありません。そのため、父とは関係ない家族の間で喧嘩が起こることも、しょっちゅうです。

そんな状態の家で日々を送っていると、住まいに必要なものは広さでもなく、充実した設備でもなく、心からくつろげる雰囲気なのだと痛感します。たとえ部屋の数は少なくても、少々建ってから年数を経てボロッちくなっていても、そこが居心地良く、笑いに満ち溢れているならば、心底快適な住まいとなるのだと思うようになりました。今までは建物のきれいさや、設備の充実ぶりといったことが気になっていた家ですが、認知症の父によって、本当に大切なのはそういったところにあるのではないと教えられました。その意味では感謝すべき事なのですが、ついつい一日も早く平穏な環境に戻ることを願っている自分に気づき、罪悪感も感じてしまうのでした。

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